Google Cloud Platform 実績例

※ 本掲載記事は適宜アップデートされる可能性がございます。予めご了承ください。

対応実績 2016年〜2025年現在

要件

自社ホームページを立ち上げたい

自社ECサイトを立ち上げたい

環境構築

必要な環境

  • Linux Server (debian)
  • Nginx
  • WordPress
  • Numerous WordPress plugins.

概要

「ホームページを立ち上げたい」といったご依頼から、「WordPressで運用したい」といった案件まで、これまでに数多くの実績を積み重ねてきました。
Google Cloud Platform 上での運用を本格的に始めてから、かれこれ10年近くが経ちます。

本記事では、その間にいただいたさまざまなご依頼を振り返りながら、総合的な観点から内容を整理しました。
あわせて、現在に至るまでの対応事例も織り交ぜてご紹介しています。

はじめに

一言で「ホームページ」と言っても、運営者と閲覧者では、その捉え方に大きな違いがあります。

(ホームページを立ち上げたい人)≒(見ている人)

ホームページを立ち上げようと考えた瞬間から、運営者には多くの準備や決定が求められます。
誰かにすべて任せてしまう「他力本願」では、満足のいくサイトを構築するのは難しいでしょう。

たとえば、自社の情報を掲載する場合には、全体構成の整理から内容の精査、さらには色合いやデザインの判断まで必要になります。
これは、私たちのような構築担当者とは異なる運営者ならではの労力が伴います。

近年は「無料ホームページ作成サービス」も多く存在しますが、たとえそれらを利用しても、運営者自身の考えがまとまっていなければ形にはなりません。

まずは、「どのような情報をホームページとして伝えたいのか」を明確にし、整理することが重要です。

ホームページの目的

ホームページの目的のひとつは、情報を広く世界に発信することです。

情報を整理していくと、メニュー構成や文章表現といった形で具体化されていきます。
この「題材」がなければ、そもそもホームページとして成立しません。

デザインや見た目も重要ではありますが、それ以上に必要なのは、明確に構造化された内容と、意味のある情報が掲載されていることです。

近年では、写真やビジュアル要素による訴求力も高まりましたが、土台としての情報設計がなければ、見栄えだけでは信頼は得られません。

デザインと構成のアプローチ

デザイン構築には、2つのアプローチがあります

  1. 題材(情報)を先に整理し、そこからデザインを決めていく方法
  2. あらかじめ用意されたデザインフレームに情報を組み込んでいく方法(WordPressで一般的)

当社では専門のデザイナー職を持っていないため、高度なデザインが必要な場合は外部パートナーに発注しています。
ただし、WordPressには「テーマ」や「テンプレート」を活用することで、ある程度デザインの再現性を担保することが可能です。

特に以下のようなページビルダー系プラグインは、見栄えのよいページを簡単に作成できます

また、企業によっては「企業ロゴ」の作成なども重要な要素となるため、専門知識のあるデザイナーの関与が必要になるケースもあります。

WordPressへの組み込み

情報の整理が済んだら、WordPressを用いてホームページとして組み込む工程に進みます。

Google Cloud Platform(GCP)の場合、デプロイメントマネージャー(Marketplace Solution)を使えば、Nginx+WordPress環境などを数クリックで立ち上げることが可能です。
(もちろん基本的な理解は必要です)

このようなパッケージ済みソリューションを使うことで、時間的コストを大幅に削減できます。
一度使えば、その便利さは手放せなくなるでしょう。

WordPressはここ数年で大きく進化し、 2024年9月時点ではCMS市場で43%のシェアを誇るまでになりました。
制作者・運営者の双方にとって、制作・調整の負荷を軽減できる点でも非常に優れた選択肢です。

無償ソフトウェアの恩恵

WordPressは MySQL (MariaDB) をデータベースとして使用しており、この他にも以下の主要コンポーネントはすべて無償で利用できます

  • OS:Linux(Debianなど)
  • Webサーバー:Nginx
  • アプリケーション:WordPress、PHP など

このような無償ソフトウェアの組み合わせにより、高機能なホームページを低コストで構築することが可能です。

ただし、無償であるがゆえに、脆弱性対応やバージョン更新などの保守・管理責任は利用者側にあります。
当社では、こうした保守対応も含めて可能な限りのサポートを行っています。

ホスティングとインスタンス方針

当社では、WordPressのようにデータベースを伴うシステムを運用する場合、1案件=1インスタンスの構成を基本としています。
これは下記の理由からです

  • パフォーマンス低下(「遅い」と思わせない)
  • 安定した管理体制の維持
  • セキュリティの強化(他ユーザーとの影響を回避)

一方で、一般的な「無料ホームページサービス」や共有サーバーは、一つのインスタンスに数百ユーザーを詰め込むケースも珍しくありません。

WordPressは特にDBアクセスが多いため、共有サーバーで処理が集中すると表示が遅くなることがあります。
とはいえ、最近はキャッシュプラグインの活用などにより、共有環境でも一定のパフォーマンスを維持できるケースも増えています。

共有サーバーの利点・欠点を正しく理解し、費用対効果の観点から選定することが重要です。

マルウェア感染のリスクと実例

以前、共有サーバーで運用されていたお客様の環境にて、マルウェア感染が発生した実例があります。(Google Cloud Platformではありません)

  • 同一サーバー上に10ドメインが存在
  • ルート領域に感染ファイルが設置され、すべてのドメインに感染が拡大
  • 全サイトが一時的に閲覧不能に

このような状況では、顧客情報や問い合わせデータの漏洩リスクも発生し、企業としての信頼性に大きなダメージを与えかねません。

マルウェア駆除や復旧対応にはコストがかかりますが、ホスティング事業者はこれを補償しないのが一般的です。
結局、SIerなど外部専門業者への依頼が必要になります。

こうした事態を防ぐためにも、最初からシングルインスタンスでの運用を行う判断が極めて重要です。

運用コストと確約利用

GCPでは、確約利用割引(Committed Use Discounts)により、一定期間の運用を見込むことで最大70%の割引が適用されます。

  • 短期的には割高に見えるクラウド運用も中長期的に見るとコストメリットが大きい

サイトのアクセス数や必要なスペックに応じて、運用形態や料金プランを柔軟に選べる点もGCPの強みです。

おわりに

ホームページ運用には、情報整理・デザイン・環境構築・セキュリティ・保守と、実にさまざまな要素が絡みます。
当社では、それらを踏まえたうえで、GCP+WordPressを中心としたシンプルかつ安全な運用モデルをご提案しています。

お悩みの方はぜひ一度、ご相談ください。

総括

2005年頃(20年ほど前)と比べると、クラウドサービスの進化により、Web環境の構築は格段に容易になりました。
とりわけ Google Cloud Platform(GCP) をはじめとするクラウド基盤の普及により、運用コストを抑えつつ、安定したサービス提供が可能となっています。

こうした背景から、かつて構築したWebサイトやコンテンツを、より柔軟な環境へ「引っ越し」したいというご要望も増えてきました。
一方で、近年はエンジニアの単価も高騰しており、移転作業にかかるコストは無視できない状況となっています。

WordPress はデータベースを含む構造のため、サイトの移転には一定の知識と技術が必要ですが、近年では専用プラグインを用いることで比較的スムーズに移行できる手段も増えています。
多くのプラグインは容量制限により有償版が主流ですが、操作に不慣れな方や技術的な不安を抱える方には、手軽な解決策となるでしょう。

10年以上前の環境をそのまま使い続けている事業者様も少なくありません。
ただし、ブログやお知らせなど日々の更新を継続している場合、いつかのタイミングで「運用母体を刷新したい」と考えるのは自然な流れです。

GCPを活用することで、将来性のあるインフラ環境での運用が可能となり、ホームページ運営者にとって多くのメリットが期待できます。
GCPでは、Googleアカウント単位で運用体制の共有や権限管理も可能なため、たとえば当社が初期構築を担当し、その後にお客様の社内管理部門へ引き継ぐといった柔軟な運用も実現できます。

WordPressで構築されたサイトの移転、他CMSからの移行、あるいは静的なサイトをWordPressへ組み込むといったご検討をされている中小企業様は、ぜひ当社のこれまでの実績をご参考に、お気軽にご相談ください。

対応実績 2017年〜2024年現在

長らく運用をお任せいただいておりましたが、諸般の事情により他社へ業務を移管し、現在は本運用を停止しております。

本件は、コスト削減を目的としたニッチな運用事例ではありますが、今なお多くのお問い合わせをいただいているため、ご参考として引き続き掲載しております。

ご要望

勘定奉行シリーズをオンプレミス環境でご利用中のお客様より、「社内から物理サーバーを排除し、クラウド環境へ移行したい」とのご要望を受け、対応を開始いたしました。

環境構築

  • Windows Server 2012 R2 Datacenter GCPインスタンス
  • SQL Server 2014
  • 勘定奉行シリーズ製品(ソフトウェア)
  • ルーター

概要

勘定奉行シリーズは、OBC社の代理店経由での導入・運用が多く、クラウドサービスについては、主に代理店が実績を持つAWS環境での運用プランが推奨されています。

しかしながら、当社ではあえて Google Cloud Platform(GCP)を選択いたしました(当時、代理店側はGCPに対して積極的ではありませんでした)。

GCPとAWSのサービス内容には、今回の目的において大きな差異はなく、コスト面ではGCPの方が有利であると判断しました。さらに、当社にとっては管理・運用面での優位性もあったため、GCP環境での構築を選択し、特段の問題もなく運用を成功に導くことができました。

VPN接続の検証と代替策

VPNトンネルを用いた接続も検証しましたが、クライアントPCが存在する企業内ネットワークの出口にあるルーターが、GCPのVPNトンネルに対応しておらず、導入は断念せざるを得ませんでした。

VPNトンネルの利用は、より安全なクラウド接続手段ではありますが、今回のケースは比較的小規模なリソースでの運用、かつ運用時間も限定的であることから、インターネット接続による運用とし、ファイアウォールにてセキュリティを担保しています。もちろん、双方向ともに固定の外部IPアドレスが必要です。

GCPファイアウォールのインバウンド設定では、SQL Server の通信に必要な tcp:1433、udp:1434 ポート、および tcp の動的ポート(SQL Serverネットワーク構成のTCP/IPプロパティに準拠)を、クライアントのアクセス元IPアドレスを指定して許可しています。

インスタンス性能とストレージ構成

運用当初は、どの程度のパフォーマンスが必要か不明だったため、様子を見ながら設定を調整してきました。現在では、vCPU ×1、メモリ10GBのスペックにて、問題なく安定運用ができています。

体感的な印象として、SQL Server はメモリを多く消費する傾向があり、今回の構成ではスワップの発生もなく、十分なメモリ領域が確保されています。

ストレージは、SSD永続ディスクを1台使用し、MBRと併用しています。開始時は50GBからスタートし、1年ごとに 100GB、150GBと段階的に増量し、現在は柔軟な運用が可能です。

バックアップ体制

万が一に備え、GCPのスナップショットスケジュールを設定しています。仮にインスタンスに障害が発生し、アクセス不能になった場合でも、スナップショットからの復元により、元の状態を比較的容易に再現可能です。ただし、復元時点はスナップショットの取得タイミングに依存します(通常は1日ごとが一般的です)。

加えて、勘定奉行シリーズ自体にも、クライアント側でバックアップを取得する機能が備わっており、担当者ごとに備えた運用体制が構築されています。

課題

  • VPNトンネルによる接続が、企業側ルーターの対応状況に依存する
  • 勘定奉行シリーズ製品のアップデート時には、個別に対応が必要(必要に応じて運用代行)

総括

本件は、クラウドサービスを有効活用した成功事例の一つです。もちろん、信頼できる代理店に運用を委ねる選択肢もありますが、高額な月額費用が発生したり、需要過多によりサポート対応が遅れるケースも想定されます。

そのような背景を踏まえ、インフラを自前で整備することは、中小企業にとって十分に現実的で賢明な選択肢となり得ます。

オンプレミスでのサーバー運用とは異なる側面もありますが、事務所内で物理サーバーを稼働させ続けるよりも、クラウド化によるメリットは大きいでしょう。

小規模リソースでタイトな運用ではないこと、コスト面でも納得感があること。こうした条件を求める中小企業様におかれましては、上記の事例を参考に、ぜひ当社までお問い合わせください。