ストレージ 実績例

※ 本掲載記事は適宜アップデートされる可能性がございます。予めご了承ください。

  • Synology

対応実績 2019年〜2023年現在

ご要望

社内ストレージの空き容量がほぼなくなってきたため、新しいストレージを運用したい。

また、Windows Active Directory を効率的に稼働させたい。

環境構築

必要な環境

  • Synology NAS
  • DiskStation Manager (通称DSM/NAS 付属)
  • ルーター
  • Dropbox

オンプレミス環境にて動作している Windows Server 上の Active Directory とストレージおよび、国産 NAS による社内環境のこれら2役を、Synology社のNAS(DSM)へ移行することといたしました。

当初懸念されたのは、Windows Serverのディスクに収められている大切な資産データの移行が無事に行えるか、また、Active Directory の挙動が Windows Server と同様な挙動が担保されるか、ということでした。

これらを実施する際に下記を念入りに検討する必要がありました。
・業務上必要なデータが1日(夜間)で移行できるか? 
・Windows Active Directoryの挙動が、DSM上(Synology Directory Server)でも同じ様に動作するか?

また、Dropboxを絡めた運用(結果としてバックアップ状態で利用)も同時に行うことにしました。

Synology の設定は、SHR-2(Synology Hybrid RAID/Synology独自のRAID管理システム)を選択しました。
SSD 4TB x 4 = 16TB ある総ディスク容量が、これらの設定により、約7TB程度の総利用領域となりました。

実際の移行前に行ったシミュレーションでは、幾度かの検証失敗を繰り返しました。
・Active Directoryの切り替え時にWindowsクライアントPCからドメイン参加がうまくできない(ドメインは別名を設定)
・Dropboxへのデータ転送が想定していたより速度が出ずに、1日ではコピーが完了しない(総容量2TB程度)

Active Directoryは ネットワーク上にあるDNSサーバーも絡んでいるため、これらを正常化することでSynology Directory Server での動作を無事に行うことが出来ました。(問題の根本は、Synologyには特に有りませんでした)
およそ40台程あるWindowsクライアントPCも特に問題もなく認証できるようになりました。

Dropboxは社外で運用するデータを対象に利用する予定でしたが、2TB程度あるデータをコピーするのに相当な時間を要しました。Dropbox側でセッション数および受信帯域の制限があるはずですが、当時は数週間程かかったと記憶しています。
結果的に、Synologyの完全バックアップとして利用している状態ですが、Cloud Sync というアプリケーションがよく出来ており、ほぼリアルタイムに、Synology ↔ Dropbox間を同期してくれます。
この、Cloud Sync アプリケーションはDropboxのみならず、多種のパブリッククラウドストレージをサポートしています。(素晴らしいアプリケーションです)

Dropboxは、Dropbox Business Standardを契約しており現段階では5TBという巨大な容量が提供されています。
接続アカウントには、2段階認証を設定し、管理者権限を的確に設定します。
管理コンソールからはアクティビティも容易に確認がおこなえるため、定期的に確認をしておいたほうが良いでしょう。

また、Windows Server上にある資産データは、自作バッチファイル(ROBOCOPY)により共有フォルダ毎にコピーする手段を取りました。
運用移行前の検証期間では、1ヶ月ほどタスクスケジューラーでこれらのバッチファイルを実行し、Windows Server ↔ Synology間のデータ同期をするという手段を取りました。

資産データの移行(同期)が、Windows Server上にあるものと、Synology上に有るものをバッチファイルのログから同じであることを確認し、各WindowsクライアントPCでのドメイン参加の切り替えと、共有フォルダの切り替えを行いました。

また、Synologyには、Snapshot Replication を設定しました。
これは、ファイル削除を行った際など、Synology内にある過去のスナップショットから削除したファイルを復元させることが出来るため、設定を行ったほうが無難な運用ができます。
運用切り替え後にも、これらの状況は頻発していたので、行うべき設定かと思います。


総括

簡単に要点のみを記載いたしましたが、
着手してからこれらSynologyへの運用が完全に切り替わるまで、相当な期間を要しました。

企業内のネットワーク環境、または取り扱いファイルの需要度にも依存するとは思いますが、確実な運用移行を行う場合には、慎重な検証が必要です。

結果として、Synologyを導入して良かったという評価をいただきました。

Synologyに限らず、他社のNAS製品も含めて年々機能強化を行っており、一昔前の製品とはまるで異なる製品になっています。

これらの運用をご検討中の中小企業様は、上記の実績例をご参考に、当社宛てにお問い合わせください。

運用過程

運用中に発生した事象を記載する予定です。


  • Google Cloud Storage

対応実績 2022年〜2023年現在

ご要望

運用中のSynologyをバックアップをしたい。

環境構築

必要な環境

  • Synology NAS
  • Synology DiskStation Manager (通称DSM/NAS 付属)
  • Synology アプリケーション(Cloud Sync)
  • ルーター
  • Google Cloud Storage

オンプレミス環境にて運用中のSynologyは、筐体内部のDSMおよび各種アプリケーション(Snapshot、Hyper Backup等)によってあくまでもオンプレミスの状態でバックアップが稼働しています。

しかしながら、Synologyを設置している事務所内において万が一の不可抗力が発生した場合には何ら意味をなさない状態であることは誰が見ても一目瞭然でもあります。

特に天災等が発生した場合には、Synologyに保存されている大切な資産データが一瞬にして無くなってしまうというリスクがあり、その可能性は0ではないことを経営者、もしくは管理者は認識する必要があるでしょう。

もちろん、多くのSynology導入者が実施するであろうSnapshot Replication を使ったスナップショットの取得、Hyper Backupを使った外付けHDDへのバックアップ、これらはあくまでも単一筐体もしくは物理的にはその近辺に設置されるであろうハードウェアによるバックアップです。

Synology単一筐体に保存されているデータをハードウェアに依存しない形でバックアップをすることを目的とした場合には、その近辺(Synologyを設置している場所)以外にバックアップを行うことを設計すべきでしょう。

これまで利用していたDropboxから Google Cloud Storageへ切り替え、Cloud Syncによるバックアップをすることといたしました。

Cloud Syncアプリケーションは優れた機能を備えており、他の多くのCloudサービス(例えば、AWS)にも同様に接続が行えます。

Cloud Syncは設定自体も比較的簡単に行えます。

ただし、Google Cloud Storage側の設定に関する難易度は少々高いかもしれません。Google Cloud Platformのサービスをよく理解している必要が有るでしょう。

Google Cloud Storage側の設定(リージョン、ストレージクラスや、権限、ライフサイクルなど)を適切に施した上で接続します。

インターネット越しのデータ転送であるため、その転送速度はファイル容量とネットワーク帯域に依存はしますが、想像しているよりも堅実なバックアップが行えます。Dropboxに比べても早い転送速度が見込めます。

運用中のSynologyは順次Google Cloud Storage側と同期が行われるため、例えばSynology側で新規ファイルの作成、変更、削除、もほぼリアルタイムで見事に同期が行われます。

仮にGoogle Cloud Storage側でライフサイクルを2世代以上に保持するようにすると、上書き更新されたファイルでも過去の世代のファイルを救出したりすることも可能です。
これは、Snapshot Replicationで救出した方が手っ取り早いとも言えますが、同様な事がSynology筐体に依存しない形でも実現できます。

事務所の外に居る場合でも、他のPC端末からGoogle Cloud Storageに保存したデータを取得できます。
仮に不可抗力によって事務所内のSynologyが破壊されてしまった場合でも、最新のデータはGoogle Cloud Storage側にも保存されているとう環境を構築できます。

設定するリージョン次第では世界中のデータセンターへ分散バックアップすることさえも可能になります。

また、万が一Synologyに事故が発生しSnapshot ReplicationやHyper Backupでは救出が難しい状態が起きてしまった場合においても、Cloud Syncを用いてGoogle Cloud Storageのデータにより再同期(データ復元)を行うことができます。

Synologyをリカバリして工場出荷時に戻すような事になってしまった場合においても、復元可能なリソースが筐体に依存しない形で保存されている安心感は絶大なものとなるでしょう。


総括

Cloud Syncの稼働によるSynologyへの負荷はそれほど高いものでは有りません。

24時間365日同期が行われるためリアルタイム同期を行う方がメリットが有るとも言えますが、Synologyへのアクセス状況、日中の稼働は避けたいなどの要望に応じてはこれらは調整可能です。(Cloud Syncのスケジュール設定により稼働時間を調整)

また、Google Cloud Storageの課金を注視していく必要もあります。

これは、アップロードには転送料金はかからないものの、ダウンロード(同期取得)には転送料金が発生するため、多くの同期先を想定した場合には総容量に応じて相応の課金が発生します。

また、リージョンやストレージクラスも慎重に検討する必要があるでしょう。

保険的な意味合いの強いCloud Syncによるバックアップですが、それでもこの保険料は決して高いものではないでしょう。


これらの運用をご検討中の中小企業様は、上記の実績例をご参考に、当社宛てにお問い合わせください。